Strata v0.1.44:Unsloth量子化対応とAMD/Arc高速化、v0.1.43.1のデコード遅延を修正
Strataは、Niko1221 (@coldniko) が開発するQwen3.8-Flash-Next (125B MoE) を8GB以上のNVIDIA GPUとシステムRAMで動かすローカル推論エンジン。OpenAI/Anthropic互換APIを提供し、MITライセンスで公開されている。
今回の要点
- Unsloth量子化の正式対応: v0.1.44より、UD-Q4_K_XL、UD-Q5_K_XL、UD-Q6_K_XL、Q8_0がセットアップで選択可能に。特にUD-Q4_K_XLは64GB RAM環境でデコード速度が最大1.40倍に向上。
- AMD/Arc高速化: Radeon 780M (gfx1103) 向け最適化と、Arc AシリーズカードでのマルチGPU高速化が実装された。
- v0.1.43.1の修正: 2×RTX 3090環境で発生していたデコード速度の20%低下や、キャッシュ読み込みの非効率な問題が修正された。
- EOSトークン文字列のバグ修正: 生成テキストにEOSトークン文字列が含まれると出力が途切れる不具合が修正された。
Unsloth量子化ファイルのサポート拡充
Strata v0.1.44では、Unsloth形式の量子化ファイル(UD-Q4_K_XL、UD-Q5_K_XL、UD-Q6_K_XL、Q8_0)がセットアップで標準的な選択肢として提供されるようになった。これらはサイズとSHA-256で固定され、UD-IQ4_XSと共に選択可能だ。
特に重要なのは、UD-Q4_K_XLが実験的ではなくなり、かつNVIDIA限定ではなくなった点だ。64GBのPCでUD-Q4を使用する場合、旧ルールでは避けていた設定でも、すべてのエキスパートをRAMに保持できる。その結果、デコード速度は1.34〜1.40倍に向上し、4Kプロンプトでは2.07倍の高速化が確認されている。また、これらのファイルでは画像生成がデフォルトで有効になる。
Q8_0との品質比較(4,995教師強制位置)では、UD-Q6_K_XLとUD-Q5_K_XLは上位トークンで94.6%の一致率(平均KL 0.033/0.038)を記録。UD-Q4_K_XLも93.1%(0.056)と高品質を維持している。速度面では、R9700(全エキスパートRAM保持)でUD-Q4_K_XLはストーリーで63 tok/s、コードで85-88 tok/sを達成。同じ環境のllama.cpp(16-20 tok/s)を大きく上回る。
詳細は Strata v0.1.44 リリースノート を参照。
利用者の報告
RTX PRO 5000 Blackwell 72GB(VRAM 72GB、300W電力制限あり)環境で、Qwen3.8-Flash-Next IQ3_S(46.84 GiB)を全エキスパートRAM保持で動かした jiangpedro 氏は、VRAMミスゼロで動作したと報告している。電力制限によりSMクロックが2610MHzから約2250MHzに低下するものの、Strata 0.1.42での実測では安定した動作を確認している。
AMD Radeon RX 6700 XT(VRAM 12GB)環境で、Qwen3.8-Flash-Next IQ3_XXSを動かした germane4oss 氏は、524,288トークンのコンテキストで推論可能であることを確認している。ただし、この環境では速度のみで正誤チェックは行われていない。
v0.1.43.1のデコード遅延とキャッシュ不具合の修正
v0.1.43.1では、2×RTX 3090(48GB)環境でデコード速度がv0.1.43比で約20.5%低下する問題が報告されていた。また、STRATA_ADAPT_OVERLAP=1を設定してもオーバーラップが有効にならない(「off: not on a layer split」)という現象も確認されていた。
v0.1.44では、このデコード遅延問題が修正された。また、v0.1.43.1で発生していた会話キャッシュの非効率な読み込み問題(32,768トークン間隔のチェックポイントへのフォールバックにより、4-17秒のTTFT遅延が発生)も修正されている。これにより、プロンプトが純粋な追加(appends)の場合でも、不要なトークンの再読み込みが回避される。
さらに、生成テキストにEOSトークン文字列(
これらの修正詳細は Strata v0.1.44 リリースノート を参照。
利用者の報告
2× RTX 3090(sm_86)、Debian 13、CUDA 13.4.92環境で、Qwen3.8-Flash-Next UD-Q4_K_XL(103.69 GiB)を動かした ben0112 氏は、v0.1.43.1でデコード速度がv0.1.43比で20.5%低下し、STRATA_ADAPT_OVERLAP=1が機能しないことを報告した。開発者の Niko1221 氏は、この環境ではオーバーラップがそもそも動作していないことを確認し、v0.1.43でも同様のログ出力があったと説明。2× RTX A4000環境ではv0.1.43、v0.1.43.1ともに0.6%以内の誤差で同等の速度であることを報告している。
2× RTX 2080 Ti(sm_75)環境で、Qwen3.8-Flash-Next IQ3_XXSを動かした ifdog 氏は、デコード速度が約8-10 tok/sに留まる問題を報告。GPU0のGDNレイヤーで「hc0 norm」処理に135-213 ms/windowがかかり、GPU1の0.05-0.22 ms/windowとの大きな差が生じていることを特定している。これはv0.1.44で修正される予定の問題だ。
2× NVIDIA L20 48G環境で、Qwen3.8-Flash-Next UD-Q4_K_XLを動かした tspine 氏は、生成テキストにEOSトークン文字列が含まれると回答が途切れる問題を報告。v0.1.43.1では修正されなかったため、v0.1.44へのアップグレードが必要だと指摘している。
RTX 4090D 48GB、Windows 11環境で、Qwen3.8-Flash-Next GSQ-RCO IQ3_XXSを動かした ユーザー は、v0.1.43.1で会話キャッシュが粗いチェックポイント(32,768トークン間隔)にフォールバックし、3.5時間で13回、6.8K-47Kトークンの再読み込み(4-17秒のTTFT遅延)が発生したと報告。プロンプトが純粋な追加の場合でも、この問題が発生していた。
AMD/Arc対応の拡充
v0.1.44では、AMD Radeon 780M(gfx1103、RDNA3)向けにhipBLASLtのチューニングテーブルが追加された。これにより、プロンプトの密なGEMM演算がplain hipBLASではなく最適化されたhipBLASLtで実行されるようになり、速度が大幅に向上する。また、gfx1103向けにネイティブdot4とWMMAカーネルが有効化され、量子化ドット積の高速化が図られた。
Arc AシリーズカードでもマルチGPUでの高速化が実装された。これにより、AMDとNVIDIAの混在環境や、複数のAMDカードを使用する場合の性能が向上している。
利用者の報告
AMD Radeon 9600 XT(gfx1200、VRAM 16GB)、Ryzen 7 5700X、Linux環境で、Qwen3.8-Flash-Next Coder IQ1_Mを動かした BOFH2k 氏は、65,536トークンのコンテキストで推論可能であることを報告している。ただし、速度のみで正誤チェックは行われていない。
AMD Radeon RX 9060 XT(gfx1200、VRAM 16GB)、Ryzen 7 9700X、Linux Proxmox CT環境で、Qwen3.8-Flash-Next IQ3_SとIQ3_XXSを128Kコンテキストで動かした Gerporgl 氏は、131,072トークンのコンテキストで推論可能であることを報告している。電力制限(112W GPU)下での動作を確認している。
AMD Radeon RX 6700 XT(VRAM 12GB)、Ryzen Threadripper 3970X、Linux環境で、Qwen3.8-Flash-Next IQ3_XXSを524,288トークンのコンテキストで動かした germane4oss 氏は、速度のみで正誤チェックは行われていないが、推論可能であることを報告している。
レイヤ分割自動順序のバグ修正(続報)
v0.1.41で導入された自動カード順序機能は、VRAM非対称のGPUペア(例:12GBの高速カード+22GBの低速カード)で性能劣化を引き起こすバグがあった。v0.1.41では、高速だがVRAMが少ないカードが最後のステージ(head/draft)を担当することになり、VRAMが枯渇してエキスパートキャッシュが機能しなかった。
v0.1.44では、この自動カード順序のバグが修正された。VRAM非対称ペアでも、適切なカード順序でレイヤ分割が行われるようになり、性能劣化が回避される。
詳細は Issue #1576 を参照。
出典
- Strata v0.1.44
- Issue #2281: 2× RTX 3090 CUDA layer split decode slowdown
- Issue #2239: sm_75 (2x RTX 2080 Ti) decode stuck at ~10 tok/s
- Issue #2236: Engine truncates answer when generated text contains EOS token string
- Issue #2228: Conversation cache falls back to 32,768-spaced checkpoints
- PR #2303: hipBLASLt tuning table for gfx1103
- PR #2302: gfx1103 native dot4 and WMMA kernels
- Issue #2250: Community benchmark on AMD Radeon 9600 XT
- Issue #2162: Community benchmark on Radeon RX 9060 XT
- Issue #1993: Community benchmark on AMD Radeon RX 6700 XT
- Issue #1576: 0.1.41 auto card order starves smaller card
- Benchmark: Qwen3.8-Flash-Next IQ3_S on RTX PRO 5000 72GB
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